こんにちは、庄文堂マネージャーの近内です。
アーロンチェアリマスタードが発売されて9年がね、経ちましたね。アーロンチェアは知名度が高いですから、椅子が欲しいなという事でwebで検索すれば、出過ぎなぐらい情報出てきますよ。「プロが解説」とか「絶対後悔しない」とか「もっと知りたくなる」「全てがわかる」などなど・・私苦手なんですよ。こういう表現。キャッチーなのはわかるんですけどね。 ちょっと大きく言いすぎなんじゃないの~。
プロってw
っていうのを見てて思ったんですよね。 もう10年以上もハーマンミラー製品携わって、実際にお客様のフィッティング、webでも販売して、年間1000脚単位で検品もして、修理のケースも把握して、ハーマンミラージャパンからの依頼でハーマンミラー製品のトレーニングで他の販売店さんの前でお話ししたこともあります。加えてアジアパシフィックの会合にも参加・・って、あれ・・これ、もはやプロと言っていいんじゃないか・・って・・。
という事で解説します。 これを読めば全てが分かる!! 準備はいいかぁぁぁぁぁ!!
※スクロールバーを見てもらえれば分かる通り長文です 読み飽きたら一度席を立って休憩して戻ってきてね
※以下早口
プロが解説!絶対後悔しない!
もっと知りたくなるアーロンチェアの全て!
第一部:デザインストーリー
”A Chair is a Chair is a problem”
椅子は椅子という考え方が問題である
デザイナーのビル・スタンフが1966年、ウィスコンシン大学院時代の論文で書いた一文です。
ビル・スタンフが快適と考えている基準とは下記とされています。
1)身体も心も快適
2)美しく座る事が出来ている
3)身体が自由に動き、椅子と身体がフィットしている
4)仙骨と腰椎が支えられている
5)高さやリクライニングの角度調整が可能
これらを体現した椅子を作ろう! って言ってすぐアーロンチェアになったわけではないんですよね。
1976年にビル・スタンフは【アーゴンチェア】を発表。これは世界で初めて人間工学に基づいたタスクチェアと呼ばれています。 タスクチェアって何よって方もいらっしゃると思います。特定の目的のために作られた椅子です。今回で言うと、オフィスワークですね。
ちなみにイームズのプライウッドラウンジチェア(LCW)。あの製品は1945年発表ですが、当時数百人の背と座のカーブの中央値を参考にしたと言われており、人間工学的アプローチってそんな昔からあったのって話です。
弊社のページ内によく出てくる「エルゴノミクス」というのは、人間工学的アプローチのことです。簡単に言うと、人が不快を感じない事を目的に設計したりすることです。
同じくイームズのソファコンパクトなんかも腰の部分が出っ張っていて、後述するポスチャーフィットに近しいものを感じます。 イームズは感覚的に分かっていたんでしょうか。それとも人間工学に通じていたのか。誰か知っていたら教えてください。信頼出来るソースと共に。
※写真は イームズのプライウッドラウンジチェア(LCW)
話を戻して1984年、ビル・スタンフはドン・チャドウィックと共に【エクアチェア】を発表。これは樹脂製だったんですよね。H型の開口部が空いていて背と座が分離しているようでしていない。
次は1988年。前回のエクアチェアと同じく、ビル・スタンフとドン・チャドウィックの2人で、高齢者向けで一人掛けソファみたいな【サラチェア】を発表。これ、あまりにも情報無いので調べるの難しいと思います。こういうのもあったんだよねって話です。
はい。ここで登場です。
1994年、遂に【アーロンチェア】の発表です。もちろんビル・スタンフとドン・チャドウィック。オフィスシーン、オフィスチェアにおけるエポックメイキングの1つです。
世界で初めてのサスペンションマテリアルペリクル(編み込んだメッシュ)を採用し、耐圧分散と通気性を担保。ちなみにアーロンチェアのアーロンは aerate(エアレイト / 通気する)ってところから来ています。人の名前じゃないよ。
発表当時のアーロンチェアは、腰のサポートとしてランバーサポートが採用されていました。このランバーサポートもアーロンチェアによって初めて世に出されたサポート機構ですからね。今でこそ当たり前にあって、なんならなんか腰の部分に付けてればランバーサポートですって言っちゃってるフシの粗悪品もありますね。
そもそもランバーサポートの意味が分からない。だけどまあ付いているから取り合えず不快な場所に当ててみるかー。あれ?ここで合ってるのかな?よくわかんないな。ってパターンが多いです。
皆さん体格違いますので腰椎の場所が違いますよね。調整出来るからどんな人にもぴったりです。なんて言ってる製品多いですけど、そもそもどこに当てるの?状態なので。ランバーサポートは、そのサポートを誰もが“簡単”に受ける事が出来るものではないことが最大の問題だったわけですね。
※写真はクラシックアーロンチェア
2002年、そんな状況に対してハーマンミラーが用意したもう1つのサポートが 、ブロック・ウォーカー博士の協力により実現した ポスチャーフィット仙骨サポート です。
腰椎ではなく仙骨をサポート。ハーマンミラーのオフィスチェア全てにあるサポートです。骨盤は座った瞬間にどんな体格の人でも同じ位置にありますから、ランバーサポートのように調節が必要ない。仙骨(骨盤)が倒れないようにサポートする事はとても効果的で、それがただ一つ、「深く座る」というルールでユーザーに簡単に恩恵を受けさせることが出来る。
「座り続けると腰が痛くなる」という問題を解決するために採用されたランバーサポートは、全ての人が簡単に恩恵を受ける事がオペレーション的に難しい部分があるという側面が問題で、その問題を解決するために、ランバーサポートを超えた、ポスチャーフィット仙骨サポートが開発された。
ペリクル(メッシュ)だってそうです。長時間座る事で発生する血流の阻害を高いレベルの耐圧分散で軽減、さらには通気性も確保する。布張りや革張りで発生していた問題を解決するためにペリクル(メッシュ)を選択した。体温調節のために暑けりゃ汗かくじゃないですか。その体温調節を邪魔しないですよ。メンテナンスも容易で衛生的ですしね。
全ては問題解決のために生まれたんです。
アーロンチェアはその点が凄かった。アーロンチェア以前、アーロンチェア以降という話になる。だから、アーロンチェアとはオフィスチェア、オフィスシーンにおけるエポックメイキングの1つなんです。
で、このアーロンチェアはPCが普及する前のオフィスシーンの話。紙とペンと電話でワークですよ。今は全然違いますよね。PCワーカーが当時と比べて多いです。
それを受けて開発、そして2008年に発表されたのが【エンボディチェア】です。これはビル・スタンフとジェフ・ウエバーなんですが、2008年の発表を前に、ビル・スタンフが他界してしまうんですね。最終段階は見れたのではないかと言われています。
座りながら健康になることをコンセプトに設計された、動きを促す、動きを邪魔しない椅子です。最近多いですね。よく動きますーって椅子。エンボディチェアの考えが影響していると思っています。
今回はアーロンの話だからここでエンボディの話は終了です。反響あったらもっと詳しく書きます。
2016年、ようやくここまで来ました。
現行品である【アーロンチェア リマスタード】がドン・チャドウィックによって完成。
1994年の発表以降、ハーマンミラーのアイコンと言えるまでの存在になっていたアーロンチェアを、現代に合わせてアップデートしています。
椅子の動きを制御し、心臓部ともいえるチルトメカニズムは非常に滑らかな動きを実現。テンションが異なるエリアを設定した8zペリクル(メッシュ)は、ブロック・ウォーカー博士が引き続き協力したポスチャーフィットSLと連動し着座姿勢の適正化と耐圧分散をサポート。
見た目はほとんどそのままに、座り心地は大幅にアップデートされてるなぁという印象です。見た目がそのままなので、実際に座ってお話しさせて頂けないと説明しがたい部分があるんですけどね・・
私の感覚ではこの2016年頃から上下昇降デスクが一般レベルで普及してきたのではないかと感じています。もともとは座りっぱなしになる事で腰や膝周辺の血流が阻害してしまう事に対して、強制的に立つ事で動きを加え、血流を促すというものです。立ったら立ったで立ちっぱなしは下半身の血流に問題が生じるほか、椎間板への負担も増えますので、正しい知識で運用してもらえればと思います。
立ち続ける事の方が座り続ける事の方より身体に悪いと言われています。ですのでオフィスで上下昇降デスクを入れているようなところは1時間のうち2~30分ぐらい立ってやってら?みたいなところが多い印象です。オフィスだから立ってる話で、健康という部分にフォーカスした場合、家ではストレッチでいいと思います。気分転換に立つのは有りです。
そして2021年には、深刻化する海洋プラスチック問題に対応すべく、リサイクル可能な資源を製品に取り入れる仕組みを発表。オーシャンバウンドプラスチックを採用した、アーロンチェアであるオニキス(ブラック)が発売されました。
このオニキスの登場で、カラー展開が グラファイト / カーボン / ミネラル / ブラック の4色になりました。リビングでのホームオフィスが増え、重すぎない印象のミネラルを選ぶ方が年々増加している印象です。
※左からミネラル / カーボン / ブラック / グラファイト
2026年 はい。今ここです。
第二部:アーロンチェアの選び方
ようやくです。ようやく選び方に来ました。
長かったですね。休憩してもOKです。
まずアーロンチェアは1~99パーセンタイルの体格をカバーするために、3つのサイズに分かれています。
ABCの3つです。Aが一番小さく、目安165cm程度まで。Bは160cm程度から180cm程度まで。Cは180前後から上。体重はあまり関係がないです。体重が重いが故にお尻が椅子の座面に入らないケースもありますね。
耐荷重は最近見直されまして160kg程度まであるんですよ。あえてメーカー公表値かかないです。体重が増えれば椅子に負担が掛かりますので音とか鳴ったりします。あくまで座るって行為で椅子が破壊されない重さってイメージで。
実際のサイズは座面の奥行きで選びます。 深く座って、座面の先端にふくらはぎが当たらないサイズを選んでください。直角に座って、お尻からふくらはぎまでを測って頂くのが分かりやすいかと思います。本当は実際に座るのが一番ですよ。
座面の奥行きは下記の通り
Aサイズ 約406mm
Bサイズ 約432mm
Cサイズ 約470mm
深く座る事で仙骨・骨盤にポスチャーフィットを当て、倒れてしまう仙骨を倒れないように支えます。上半身の荷重を分散させるためにも背もたれに背中を付けてください。「背もたれ」ですからね。背をもたせかけるところですから。
座面の先端にふくらはぎが当たっていると無意識に前に座ってしまう。深く座っていないと仙骨のサポートも無くなり、背もたれから離れて上半身を腹筋背筋で支えるようになります。長続きしませんから、気が付けば机に寄り掛かっている。という状態になってしまいがちです。
寄り掛かって前かがみになっていると、股関節の横を走る太い血管が圧迫され、下半身への血流が滞り、むくみや疲労感が発生します。加えて背中も丸まり、無意識に行っている呼吸が浅くなる。結果脳に行き渡る酸素が減り、パフォーマンスが落ちていく。
良いことなんてないですよ。 なんらかの理由で姿勢が崩れるほど、身体の負担は増えていく。
だから、座面の先端にふくらはぎが当たらないサイズを選ぶんです。
基本的にこれだけです。他にもアームの高さやリクライニングの硬さ調節など体格との相性がある機能もありますが、適切なサイズを選択し、最低限のルールとして「深く座る」事を守ってもらえばばっちりです。
※こんな感じで測ってみてもらって
第三部:どんな人におすすめか
(以下早口)プロが解説!絶対後悔しない!もっと知りたくなるアーロンチェアの全て!
なんて言いながら、大半がストーリーの話でした。 失敬。
椅子選びにおける最大の問題は、「選べない」事だと思うんですよ。製品として世の中に椅子があり過ぎるのと、自分の中の椅子の価格イメージのギャップで。
この記事だってそうですが、買ってほしいから書いてるわけですよね。実際アーロンチェアは製品としてもとても良いものですけど。世の中は広告で溢れてるじゃないですか。なおさら今は「椅子 おすすめ」なんてブラウザで検索した日には、ありとあらゆるところに椅子の広告出てきちゃって。
選択肢が増えれば増えるほど難しくなりますからね。 でもそこでよく考えてみて欲しいんですよ。
何故椅子を探しているのか。
腰が痛い。肩が痛い。使っている椅子が壊れた。引越しの機会を利用して。身体に気を遣おうと思った。良いと言われる椅子に座ってみたい。純粋にかっこいいから座りたい。などなど・・
問題解決のために椅子を買う。 腰が痛いという場合は、腰のサポート機能があるかどうか。ランバーサポートは怪しい製品も多いですから。そもそも作業対象のせいで前かがみで腰が痛いパターンもあります。
ノートパソコンを机に直置きでモニターが低い位置にあるから覗き込むように前かがみになって腰が痛い。「いやぁーこれじゃだめだ。ノートパソコンスタンド買おう!お~これで高さはぴったりだ!」って言いながら高くなったノートパソコンの本体キーボードを直接叩いて肩上がりっぱなしで肩痛めるとか。
モニターアームとかノートパソコンスタンドとかは非常に重要ですので、椅子と併せてチェックしてみてください。
モニターアームが欲しい
アーロンチェアはこんな人におすすめですよっていう目安のために特徴をまとめます。
1)編み込まれたペリクル(メッシュ)で通気性が良い
→ 合皮やファブリックの椅子では通気性を担保できません。蒸れが気になってる方は生地が原因のケースが殆どかと思います。
2)編み込まれたペリクル(メッシュ)で出っ張ったところ(座骨や肩甲骨)に集中してしまう体圧を上手く分散可能
→ 耐圧分散が上手く出来ない椅子はお尻が痛くなったり血流が阻害されます。穴が開いてるだけのメッシュとは全然別物です。
3)編み込まれたペリクル(メッシュ)は経年劣化の影響を受けにくい
→ ウレタンを例に挙げると、反発力が弱まり耐圧分散の能力が低下。低下した能力が戻る事は無いです。
4)アームの高さはアームレスト自体と座面の上下昇降で調整可能なため、手根管症候群対策もばっちり
→ アームレストを使って作業しないと、手首に腕の重さがかかりすぎるため、手根管症候群などを発生させるリスクが上がります。
5)筆記やモニターに直接書き込むなどの作業時は前傾チルト機能を使って仙骨をサポート可能
→ 背・座ともに同じ角度で傾ける事が出来ないと、股関節・椎間板に大きな負担が掛かります。
6)リクライニングは自分に合わせて調整可能で必ず身体の動きについてきます
→ リクライニングの途中でロックするような機能がある椅子を見かけますが、無理に筋肉を使って椅子から起き上がらなくてはいけなくなったり、背もたれ自体を気が付けば使っていないという状態を招きやすく、猫背を大きく誘発する要因の一つです。
7)12年保証です。シリンダーは2年ね。
→ 通常使用で発生した事象は販売店を通してメーカーに相談可能です。私は凄い良い制度だと思いますよ。物は必ず壊れる。でも普通に使ってて壊れたんなら12年間ある程度面倒みます。みたいな制度です。
ちなみに弱点はペリクルが強すぎて生地が負けるなんて事があるぐらいですね。着物とか高いスーツなんかは注意。
正しく使えば、しっかり良い。
普通に使ってても物は壊れる。壊れたら12年保証の制度に相談してみよう。
アーロンチェアはこんな感じの椅子です。
参考になりましたでしょうか。 ページの文字数の関係でこの辺で終了です。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。




